≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

錯乱


「・・・ピカちゃん?・・・・」



「えっっ!?」



オレは、樹花の言葉の『間』で、いましがた自分がボーッとしていた事に気付いた。


ボーッとしていた・・・というより、ずっとハルの事を考えていた。


今日は病院に来ているのか・・・

おばさんの具合はどうなのか・・・

今度会ったら、何から話していいのか・・・



「やっぱり、お仕事大変なんだね。疲れてるんだよ。正社員になったら、もっと責任重大になるよね!」



外での出来事を、何も知らない樹花は、相変わらずマイペースだ。



「うん・・・でも、まぁ今のところコレといって変化はないんだけどね。」



オレの中では、すでに流行遅れの話題となってしまった『正社員昇格』の話題も、少し新鮮っぽく話さなければならない事も、オレのテンションを下げさせた。


勿論、正社員の件を樹花に話したら、とても喜んでくれた。


これが2日前なら、どんなにオレも盛り上がっていただろう・・・。



「ピカちゃんも正社員なんだし、無理してお見舞い来なくていいんだよ。

私は、ピカちゃんの身体の事がかえって心配になっちゃうから。

無理だけはしないでね。」



「うん・・・どうしても仕事で抜けられない事もあるだろうから、その時はゴメン・・・」



「いいんだよ。こっちこそゴメンね、気を遣わせちゃって。」



にっこりと微笑む樹花に、オレは長く目を合わせておくことが出来なかった。


恐らく樹花も・・・オレのこのぎこちなさを、何か感じ取っていたのだろう。
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