≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
どの言葉を取っても、絵里香を魅了する言葉ばかりだった。



「へぇ~・・・へぇ~・・・そーなんだ・・・へぇ~・・・」



絵里香は時間も忘れ、相変わらず独り言を言いながら、本を読み進めていった。





「クスクス・・・」



絵里香の後ろで誰かが小さく笑っただけだったが、絵里香はとても驚いて本を床に落としてしまった。



----バサッッ



絵里香は慌てて振り返ると、そこには金色の髪にブルーの瞳をした男の子が私服で立っていた。


年の頃は絵里香と同じくらいだと絵里香は思った。


突然現れた外国人に、絵里香はかなり躊躇した。


本当ならば、『なに?』と訊きたいところなのだが、相手が外国人となると、それを英語で言うべきなのか、迷っていた。


完全に固まっている絵里香の方に、その外国人は近づいてきた。


金髪の男子がニコニコしているので、絵里香もつられて日本人スマイルをやってみせた。

ただし、顔半分ひきつりながらではあったが。



金髪男子は、絵里香の前まで来て立ち止まると、フッとしゃがみ床に落ちた本を拾い上げた。



「この本気に入った?」



本を持って立ち上がると、男の子は絵里香にそう話しかけた。



絵里香は金髪男子の発する言葉が、日本語であった事に安心し、フッと肩の力をゆるめた。




「そ・・・それ・・・あなたの?」



「うん、そうだよ。」



男の子は優しい笑顔で答えた。



「ごめんなさい、私・・・忘れ物だと思って・・・勝手にさわって・・・・」




< 133 / 348 >

この作品をシェア

pagetop