≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「いいんだ、気にしないで。ちょうど、この図書室に寄付しようと思っていたところだから。」



「その本?!」



「うん、そうだよ。」



「えっ、そんなに綺麗なのに勿体ないよ!」




「どうして?」



「だって・・・雑に扱う人・・・結構多いよ・・・」



「そうなの?」



「そうだよ。ここに置いてある本みたいにボロボロになったら勿体ないよ、手垢もついて黒ずんじゃうよ。」



絵里香は自分でも分からなかったが、必死にその本をフォローしていた。




「へぇ~・・・・キミ優しいんだね。」



絵里香はドキッとした。

男の子の甘いマスクも絵里香の好みではあったが、日本の男の子のように乱暴な口調ではなく、初対面である自分の事を、その様に紳士的に言われたのは初めてだったのだ。


ドキドキドキ・・・



高鳴る胸の中、絵里香は言葉を探した。



「でも・・・どうしてアナタはこんな所に居るの?留学生?」



絵里香は自分でも顔が赤くなっているのが分かった。


その照れ隠しの為、男の子から顔をそらし、クルッと体勢を変え勉強ノートに向かった。


正確には向かうフリをした。



「ボク?留学生に見えるの?」



「フツーそうなんじゃない?それとも日本で育った外国人とか?」


< 134 / 348 >

この作品をシェア

pagetop