≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「樹花!」
オレは、個室の扉をガラッと開けるのと樹花の名前を呼ぶのとを、ほぼ同時に行った。
病室を入るとすぐ正面に来客用の椅子が樹花のベッドの横に置いてある。いつも見るその背もたれにしっかりと寄りかかり、座っている先客がいた。
「アスカ…」
挨拶代わりに名前を呼んだ相手は、オレの親友である長谷川の想い人で、樹花がヘルプで入ったバンド〝Hot Snow Bell〟のヴォーカル。樹花のアルバイト先の先輩でもあり、樹花曰わく『とても頼れるお姉さん』的存在らしい。
術後の樹花が、身体を起こせるようになったと聞いて、お見舞いに来たのだろう。
「ヨゥ!ピカちゃん!」
アスカが左手の中指と人差し指2本指を立ててオレに挨拶してきた。
「・・・アスカにまで『そう』呼ばれたくないんだけど!」
ほんとうは、オレの中で『ピカちゃん』は超…超・超・超はずかしい・・・
しかし、樹花だから許せる。樹花のキャラだからそう呼ばれて嫌気もささない。けど・・・