≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
自称『天使』と言い張る金髪の男子が言った通り、絵里香はハチに塩水を作って飲ませた。


ハチは意外に嫌がることもなく、お椀に入れた塩水をペロペロと舐めて飲み干した。



次の日の朝、絵里香は朝一番に起きてハチの様子を見に行った。


すると、ハチはしっぽを振って絵里香が近づくのを喜んだ。


目には生気が戻り、元気そうに四つ足で立っている。


絵里香は久しぶりにハチが起きあがった姿を見て安心した。



「ハチ!治ったの?」


絵里香の言葉が分かるかのようにハチは抱きついた絵里香の頬を舐めた。



『本当だった・・・本当だった・・・・あの子の言ったこと・・・』



後から起きてきた母親と父親もハチの回復を喜んだ。


ハチの治った原因を、夢で見た通りに塩水を飲ませたら良くなったと両親には伝えた。


さすがに金髪の天使の事は、まだ言えないでいた。



しかし、その数日後も絵里香は両親を驚かせる行動をしたのだった。


絵里香の祖母の13回忌を目前にした日のことだった。



「そうそう、お義母様の法事にお供えのお菓子を用意しておかなくちゃ。お客様用も・・・」


絵里香の母親は忙しそうにバタバタと家の中を走り回っていた。



「なにか手伝う事ある?」



1人忙しそうに走り回る母親を見て、絵里香は声をかけた。



「あぁ・・・お願いしたい事があるの。明日のお供え用のお菓子とお客様用のお茶菓子を買ってきてくれないかしら!」



「何を買ってきたらいいの?」



「う~ん・・・なんでもいいわ。絵里香に任せるから。」



「・・・なんでもいい、が一番困るんだけどな。」
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