≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
そう言いながらも、座布団をベランダに干したり、お湯のみの数を確認している母親を見ていると、それ以上は何も言えず、玄関を出た。



「いつもの『松風堂』に行けばいいや。いろいろあるし!」



『松風堂』とは絵里香の家の行きつけの和菓子屋だった。

絵里香の亡くなった祖母、つまり今回13回忌を迎える祖母が生きていた頃から、付き合いのある和菓子屋だった。



「こんにちわ~」



絵里香は松風堂の自動ドアが開くと、そう声をかけて中へ入った。


奥からいつもの松風堂の店主がひょいっとのれんから顔を出した。



「おっっ、絵里香ちゃん!ちょっと待って!今大型注文の箱詰めしてるから、いいの選んでおいて!」


とだけ言うと、すぐに頭を引っ込めた。



「あっ・・・」



という言葉も届かず、絵里香は店頭に1人、ショーケースに並んだ和菓子を眺めた。



「おじさんに相談しようと思ったのに・・・」




「あくまきって知ってる?」



突然、後ろから話しかけられた。



「えっっ?」



絵里香が振り返ると、そこにはやはり金髪の男の子が立っている。



「ついてきたの?」



絵里香は突然現れる男の子に少し馴れてきていた。


しかし、こう余りにもつけ回されると、いい気分はしなかった。
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