≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
『いい加減にしてよ!』
そう喉から出そうだったが、男の子はまたこう尋ねてきた。
「『あくまき』って知ってる?」
「えっっ?!悪魔木?・・・『てんしき』ってあるの?」
「クスクス・・・違うよ。ひらがなで『あくまき』だよ。」
男の子は優しく答えた。
「もちろん知りませんけど!それがどうかしましたか?」
絵里香は男の子と距離を置くため、敬語を使った。
「樹木の灰を使ったおやつだよ。」
「灰?・・・そんなの食べられるわけナイじゃない!ざらざらしてマズそう!!」
「フフフ・・・そういうイメージなんだ。
でもね、餅米と混ぜるから全くザラザラどころかモチモチしているし、
しかも天然の栄養がたっぷりの栄養価の高いおやつなんだよ。
近年とても見直されているんだ。」
「あー、そーですか!でも、私興味ないし!」
「そうかな。キミはきっと気に入ると思うよ。なにせ、キミの亡くなったおばあさんの大好物だったから。」
「・・・えっっ!?そうなの?」
「そうだよ。おばあさんが、もう長くないって分かった時、最後に食べたい物を尋ねたら『あくまき』って言ったくらい、おばあさんはあくまきが好きだったんだ。」
「そうなんだ・・・私・・・おばあちゃんが死んだ時、まだ1才だったから・・・全然知らなかった。」
「『あくまき』は本当に素晴らしい食べ物だよ。僕も高く評価しているよ。」
「どうして?」
「燃え尽きて、灰になっても、地に栄養を与えるだけでなく、人体に入っても豊富な栄養を与え続ける・・・その行いに敬意を払わない方がおかしいよ。
人間を見てごらんよ。灰になって何を残す?悲しみや、相続争いなどの嫉妬や争い。次は我が身に回ってくる『死』への恐怖。生きることへの執着・・・
みんな醜いものばかりだ。」