≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「絵里香は・・・最近変わった様子はないのか?」


ゴルフから戻った山田は妻である由利絵に尋ねた。



「特に変わった様子はないみたいだけど・・・。」



主人へのおつまみを準備しながら由利絵は応えた。



「そうか・・・。我が子ながら、あぁズバズバ言い当てられると・・・なぁ・・・・」



山田は言葉を濁しながら、注がれたビールを一口飲んだ。



「大丈夫よ。私たちの娘ですもの。何も心配はいらないわ。」



由利絵は軽く笑ってみせた。


最愛の妻の笑顔に、山田の心も和んだ。



「あぁ・・・そうだ。今日のコンペは中止になったが、例の件決まったぞ。」



「まぁ・・そういう事は早く決まるのね。あの土地・・・手放すのね。」



「あんな山持ってたところでどうにもならんだろう。携帯もつながらんような所だ。

空港開発に役立てば、沢山の人が潤う。あの土地も生まれ変わって活かされるんだ。

その方が本望ってもんだよ。」



「あなたがそうおっしゃるのなら、私は何も言う事はないわ。」



「あぁ、土地の権利書とかいつでも使えるように揃えておいてくれないか?」



「はいはい、分かりました。あ・・・土地を譲る時ってなにかお祓いのような事しなくていいのかしら。」



「・・・どうだろうか。」



「絵里香の事もあるし、私・・・明日神社に行って来ますね。」



「あぁ、頼んだよ。」



2人の会話が終わるころ、絵里香がダイニングにお腹を空かせて入ってきた。

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