≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「えっっ?ママ明日神社に行くの?私も行きたいな~」
夫婦は顔を見合わせた。
「お前は明日学校だろう。ママは用事で行くんだ。遊びじゃないんだぞ。」
「フフフ、ママも明日は午前中に行っておきたいから絵里香は一緒には無理ね。ごめんね。」
「え~っっ、ガッカリ!まっ、しょうがないか!」
「そういう事だ。」
山田はビールにお代わりを注いだ。
「ねぇ、パパ!今年の夏も山に行きたいな!去年はタヌキを見たよね。今年はどんな動物に会えるかなぁ!」
再度、夫婦は顔を見合わせた。
「そうだな・・・。ただ・・・・」
「ただどうしたの?」
絵里香はくったくのない表情で父親に尋ねた。
「恐らく山に遊びに行けるのは今年までだ。」
「・・・どうして?」
「あの山は売ることにしたんだ。」
「誰に?」
「あそこには、空港が出来るんだ。そうすれば沢山の人が喜ぶ。」
「・・・・・」
絵里香にとっては、幼い頃からのお気に入りの場所だった。
その場所を取り上げられると思うと、絵里香はショックで言葉が出なかった。