≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「キミが思いを貫こうとしないのなら・・・

僕からの助言は何もないよ。」



天使は目を伏せた。



「そうじゃなくて・・・不可抗力だって言ってるの!」



「キミは言葉を操ることには器用なんだね。」



そう言われると、絵里香はかえって何も言えなくなった。



「この世はね、人間だけで生きているわけじゃないんだ。」



「そんなこと・・・分かってるよ・・・」



「いいや、キミは『本当に』は分かっていないのさ」



「人間は人間以外の生物の命を刈り取って生きている。

それも、必要最低限じゃなく、吐いて捨てるほど・・・

ゴミとして捨てられる命は、この地球を育む命でもあるのに。

彼らは黙って命を差し出すんだ。

木も動物たちも。

一体何が違うと思う?」



「何が違う・・・って・・・」



「人間は殺される時は叫ぶよね。『やめて!!』って」



「確かに・・木や動物は喋れないね。」



「そうさ。言葉を持たないモノは、言葉を持つモノの奴隷だとでも思っているのさ。

人間ていうのは。」



「そんな事・・・思ってないよ」



「じゃぁ・・・食料がなくなった時、キミの飼っている犬・・食べる事出来る?」




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