≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
ドアを開けてすぐ、泣きじゃくりながら自分にそう尋ねる娘を由利絵は少しヘンに思った。

しかし、一瞬そう思いながらも絵里香をなだめた。



「そんな事しないわよ。どうしたの?大きな声出して。」



由利絵は娘に優しく話しかけた。



「うん・・ごめんね・・・天使がそう言ったから・・・・心配になったの・・」



絵里香は彼女の中で、既に馴れてしまっていた天使の事をさらっと語った。



『天使・・・?』



由利絵は首を傾げながらも、絵里香の背中をさすって寝かせた。



絵里香は、夢を見ていた。



大きな波が全てを呑み込む瞬間の夢。


逃げ惑う人々。


建物は一瞬で波に破壊され、のみ込まれていく。



どんなに遠くに逃げても、今度は前方からも波が襲ってくる。



そのうち絵里香も波に呑まれていた。



波に呑まれながら絵里香は思った。


人間がたくさんのお金をかけて築き上げた素晴らしい物も


自然の力には勝てないのだと・・・


自然が本気で人間を襲えば、人間などひとたまりもないのだと・・・


自分たち人間が、どれだけの『おごり』で自然を摘み取ってきたのか・・・


人間の築き上げてきた物など、自然にとってみてはほんの一瞬のチリ・・


夢の中での絵里香の意識が遠くなってくる・・・


この波は、人間がいかに無力であるのかを思い知らせた。


「わたしは・・・無力・・・?!」



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