≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
その頃絵里香は、1人学校の美術室にいた。


来月当番になっている、校舎の踊り場に貼る絵(もちろんただのポスターではあるが)を、どれにするのか美術の先生に相談しようとやってきたのだった。

ところが、美術室に先生の姿はなかった。


美術準備室を覗き、壁にズラッと貼られてある絵を一枚一枚丁寧に眺めた。


その中の一枚の絵に、絵里香の視線が止まった。


その絵は、イエス・キリストが地面にうずくまる1人の女性の背中に手を置き、

こちらを向いて『やめなさい』と言わんばかりに、もう片方の手のひらをこちらに向けている絵だった。

絵の中の女性は、どうやら沢山の石を投げつけられているようだった。



「コレってどういう状況なんだろう・・・・」



絵里香がそう呟くと、いつものように


またあの声が後方から聞こえた。



「その女性は罪人なんだ。」



「罪人?」



絵里香はもう、彼の存在に対してどうこう思わなくなっていた。



ナイジェル・・・


天使が絵里香だけに教えた秘密の名前。









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