≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「食べ物を盗んだのさ。この女性には子供がいてね、

貧しくて、ずっと子供に何も食べさせてあげる事が出来なくて、

子供のお腹を満たしてあげたくて、追いつめられて盗んだんだ。」



「食べ物くらいで石を投げつけるの?」



「そう考えるのは先進国独特さ。

途上国は、盗まれた方も、生きるか死ぬかの大事な問題だ。

まして、時代ははるか昔・・・」



「そうなんだ・・・」



絵里香は絵を再び見つめた。



「・・・でも、・・・でも、

この女の人そんなに悪いのなら、

どうしてキリストはかばってるの?」



金髪の天使ナイジェルはフッと微笑んだ



「彼はこう言ったのさ。

『今までに一度も罪を犯した事の無い者だけが、この女に石を投げていい』

・・・とね。」




「私・・・投げられないな・・・」




絵里香は呟いた。

< 159 / 348 >

この作品をシェア

pagetop