≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

懐かしい山。


広がる緑。


見上げると、葉の隙間からこぼれる日差し。


青い空。


遠い雲。


木々の香り。


人の気配にすばやく身を隠すリス。



絵里香の感じた、大好きな世界が失われる。



このままでいいのだろうか。



このままでいいのだろうか。



でも、自分に何が出来るのだろう・・・




自分にはキリストのような知恵はない。


皆を一瞬で黙らせるような能力もない。



そんな自分に


一体何が出来るというのか。



女性をかばうキリストの絵を見ながら、絵里香はそう考えていた。




---ガラッッ



突然、準備室の扉が開いた。







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