≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
準備室に入って来たのは、美術の先生ではなかった。
扉を開いたのは、絵里香のクラス担任の中越先生だった。
「山田さんっ…」
中越先生は、平静を装っていたが、緊迫した何かを含んでいるのを絵里香は感じていた。
「はい・・・」
絵里香は担任の顔を見てキョトンとしていた。
すると、中越先生は準備室の中に少し早足で入ってきた。
早足で動くには、先生の長めのタイトスカートは、
少しもたついているように絵里香には見えた。
「すぐに帰る準備をして・・・」
絵里香のすぐ近くまで来ると、中越先生は絵里香にそう伝えた。
「えっ・・・?」
担任の先生にそう告げられ、絵里香は躊躇した。
絵里香は目を白黒させて突っ立っていた。
「お母さまが、事故で病院に運ばれたそうよ。」
瞬間、絵里香の頭に、大きな鉛を落とされたような衝撃が走った。