≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「・・・はい・・・私は稲荷神社で神主をしてます酒見(さかみ)と申します。」
絵里香は、お参りに行った時の出で立ちと違うので、行きつけの神社の神主とは気が付かなかった。
酒見の顔をまじまじと見て、絵里香もやっと知ってる顔だということに気付いた。
「あぁ・・・あなたがあちらの神主さんでしたか・・・。
いつも、妻と娘がお世話になっております。」
山田は軽く頭を下げた。
「いえいえ、そんなことは・・・。それより、奥さんを発見した時の様子なんですが・・・」
「はい・・・」
山田と絵里香は息を止めた。
「昼前に私は、神様へのお勤めを終えて、自分の部屋へ戻り、
普段着に着替えていました。
すると、犬がワンワン吠える声が聞こえましてね・・・。
よくこの辺を、犬の散歩に連れてくる人は多いので、
すぐ止まるだろうと、はじめは放っていたんですが・・・
しばらく経ってもいっこうに鳴き止まないので、
外に出て様子を見に行ったんです。」
「はい・・・」
山田は相づちだけ打った。
「すると、うちの神社の階段の半ば辺りで、
クリーム色っぽい犬がこちらを見て
ずーっと吠え続けるんです。」
「ハチだ!!」
絵里香は思わず叫んだ。