≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「・・・はい・・・私は稲荷神社で神主をしてます酒見(さかみ)と申します。」



絵里香は、お参りに行った時の出で立ちと違うので、行きつけの神社の神主とは気が付かなかった。

酒見の顔をまじまじと見て、絵里香もやっと知ってる顔だということに気付いた。




「あぁ・・・あなたがあちらの神主さんでしたか・・・。


いつも、妻と娘がお世話になっております。」




山田は軽く頭を下げた。




「いえいえ、そんなことは・・・。それより、奥さんを発見した時の様子なんですが・・・」



「はい・・・」



山田と絵里香は息を止めた。




「昼前に私は、神様へのお勤めを終えて、自分の部屋へ戻り、


普段着に着替えていました。


すると、犬がワンワン吠える声が聞こえましてね・・・。


よくこの辺を、犬の散歩に連れてくる人は多いので、


すぐ止まるだろうと、はじめは放っていたんですが・・・


しばらく経ってもいっこうに鳴き止まないので、


外に出て様子を見に行ったんです。」



「はい・・・」



山田は相づちだけ打った。




「すると、うちの神社の階段の半ば辺りで、

クリーム色っぽい犬がこちらを見て

ずーっと吠え続けるんです。」



「ハチだ!!」



絵里香は思わず叫んだ。


< 168 / 348 >

この作品をシェア

pagetop