≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
神主の酒見は、そのまま話しを続けた。
「その犬は、私を確認すると、突然鳴き声を変えましてね、
今度はクゥ~ン、クゥ~ンと言って、
一段ずつゆっくり階段を下りるんです。
私が階段を下りるのを躊躇していると、
また、その犬がワンワン吠えるので、
私も数段下に下りました。
その犬をよく見ると、
リードが付いていました。
私は、その犬に近づき、飼い主を捜しました。
その時・・・階段の一番下で人が倒れているのに気付きました。」
「では・・・妻は、あの階段から落ちてこんな目に・・・」
山田の声は震えていた。
「えぇ・・・この度はとんだ災難で・・・・」
酒見の言葉に山田は爆発した。
いや、あえてぶつける何かが欲しかっただけなのかもしれない。
「とんだ災難だって?!」
突然の山田の怒鳴り声に、酒見は目を丸くした。
「私は前からあの急な階段は危ないと思っていたんだ。
雨降りのあとは、さらに滑りやすい!!
老人子供には命取りだ!!
エスカレーターを付ける費用がなければ、
せめて、手すりやすべり止めくらい階段に付けるべきだ!」
山田は顔を真っ赤にした。
酒見は口をあふあふさせていた。