≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

絵里香は母の大事を知らせたハチの事が気がかりだった。



「あぁ・・・クリーム色の犬・・・ですかね・・・」




「はい。」



絵里香は酒見をジッと見つめた。




「実は・・・私が救急車を呼びに戻っている間に、居なくなったんですよ・・・」



「えっっ?居なくなった?ハチが?!」



絵里香にとっては、二重のショックだった。


酒見は申し訳なさそうな、仕方のないような表情をした。



「一応、神社に居る人間に探してはもらっているのですが、

まだ見つかっていないみたいで・・・・」




「そんな・・・・」



絵里香は病院の廊下に座り込んで顔を伏せた。




「もういい。犬の事もこちらでなんとかする。

今日はもう、帰ってくれ。

・・・礼は言いませんよ。

妻がこうなったのは、そちらの落ち度だ。」



酒見に向かってそれだけ言うと、

山田は背を向け、絵里香を立たせた。


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