≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

とりあえず、担当医から、今日は家に帰るように言われ、二人は仕方なく家へ戻った。


家の門を開けても、ハチはやはり居なかった。


絵里香はほんの少しだけ期待していた。


ハチなら自力で家に戻っているのではないかと。


家に到着すると、すぐに車から降り、家の周囲を探したが、

ハチの姿はどこにもなかった。



「ハチぃ・・・グスッッ、ハチぃ・・・・」



絵里香は泣きながら、ハチを探した。



「絵里香、とりあえず家に入りなさい。

まずは、これからの事を話し合おう。

ハチはまた落ち着いてから探そう。

もしかしたら、明日の朝には戻っているかもしれない。」



父にそう諭され、絵里香は家の中に入った。



「明日の朝は、パパがママのお見舞いに行くから、お前は学校へ行きなさい。」



「えっっ?!私も行くよ!」



「学校が終わったら連れて行ってやるから、言うことを聞きなさい。

お前は受験生だ。将来がかかっているんだぞ。

きっと、ママも同じ気持ちだ。

分かったね。」



『ママも同じ気持ちだ』

と言われると、絵里香はそれ以上何も言えなかった。


見舞いにも行けない自分が、まず出来る事・・・

絵里香はナイジェルの言葉が頭から離れなかった。



『キミにしか出来ない』



「あの、パパ・・・あの・・・山のことなんだけど・・・」



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