≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

依存

病院から、絵里香の母親が危篤だと連絡が入ったのは、

次の日の朝、絵里香が学校の制服に着替えてスグの事だった。



この一日は、絵里香が生まれてから一度も体験したことのない、

悲しみと、無念を知ることとなった。


山田と絵里香の呼び掛けの甲斐もなく、

この真夜中、由利絵は帰らぬ人となった。


体中全身打撲でショック状態であった。

左足の骨折も痛々しかった。

顔には傷が全くなかったが、

頭を強く打ったせいか、

脳がその衝撃から回復しきれなかった。


ほとんど意識はなかったが、苦しそうに酸素マスクの中で呼吸をしていた。


由利絵は、亡くなる寸前にだけ、少し意識を取り戻した。


山田がうわごとのような由利絵の最後の言葉を聞き取り、

絵里香も最愛の母親と会話をする事なく、

永遠の別れを迎えたのだった。



葬儀などが慌ただしく終わり、

由利絵とハチの居なくなった家は、

寂しいという表現で、片付けられるモノではなかった。



絵里香の心に空いた穴は、

絵里香にすべてのやる気を無くさせた。


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