≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
父親に言われるまま、受験勉強に打ち込む事で、
なんとか自分自身を保とうとする絵里香であった。
『ママもきっと、お前の頑張っている姿を見て喜ぶぞ』
という父の言葉に、そのまますがるしかなかった。
受験勉強に打ち込む間、ナイジェルが頻繁に現れる事はなかった。
ナイジェルの事を忘れたわけでは無かったが、
ハチと母親の事を気持ちの中で整理する時間が、絵里香には必要だった。
ただ、母親を思い出して辛い時には、
何も言わず、ただ優しく微笑みを与えに来てくれる事はあった。
絵里香にとっては、その距離感がとても有り難かった。
一方山田は、母親を突然亡くした絵里香を心配していた。
以前、ハチの病気を治した時の事や、ゴルフクラブが壊れた時の話しをすると、
時折、自分には天使が助言をしてくれるのだと、山田に話したのだ。
寂しさで、頭がヘンになったのではないかと、山田は心配した。
しかし、絵里香は年が明けてすぐ、努力の甲斐あって、
志望校の推薦合格が決まった。
山田も大喜びだった。
山田家にとって、久々の明るい話題であった。
それからしばらくは、山田も天使の話しなど忘れていた。