≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

志望校への合格が内定し、喜んでいたのもつかの間、

山田は接待ゴルフ中、事故に遭った。


ゴルフ場をカートで移動中、

上り坂の際、カートが横転し、山田と他2人がカートから投げ出された。


幸い、山田は軽い脳しんとう程度で済んだが、

他の2名は折れた肋骨が肺に刺さったり、

カートが脚に乗り、複雑骨折をしたりと、

大変な目に遭っていた。


絵里香は父親の事故を聞き、パニックになった。

脳しんとうで意識が無い時間があったため、

念のための、検査ということで、一日だけ入院した。


絵里香は、その日病院に泊まった。



「絵里香。パパは大丈夫だから帰りなさい。」



「いや!絶対に帰らない。

パパが一緒に家に帰るまで、私は大丈夫なんて言葉信じない。

家に戻っても、私ひとりぼっちだよ。

1人はイヤだ。絶対にイヤ!!」


絵里香は泣きながら山田に訴えた。



「・・わかったから・・・好きにしなさい」



山田がそう言うと、絵里香はニッコリした。





その晩、病院のベッドで山田は夢を見た。


久々に家族で笑い合っている光景だった。


そこには、由利絵の姿もあった。


とても楽しそうに、とても幸せそうに笑っている。


そうして、沢山話しをした後、


『私はこんな素敵な所に居るから心配しないで』


と、満面に咲き乱れる花の中で、


暑さや、寒さとは全く無縁の世界を由利絵は見せてくれた。

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