≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「それは・・・」


絵里香はナイジェルの言葉に答える事が出来ず、言葉に詰まった。



「絵里香。今回のキミのお父さんの件は、警告なんだ。」



絵里香はうつむき加減であった顔を、パッとあげた。



「・・・警告?!」



「そうだよ。」



徐々に青ざめていく絵里香の顔をナイジェルはジッと見つめた。




「もしかして・・・パパも・・・ママみたいに・・・?!」




絵里香は、声というより口から息を漏らすように言葉を出した。


ナイジェルは無言のまま、絵里香から目を反らした。



「ま・・・待って!教えて・・何をしたらいいの?

何をすればパパは助かるの?」



絵里香は声を詰まらせながらも、ナイジェルを呼び止めた。

母親の時の事を、繰り返したくない思いで必死であった。


ナイジェルは、絵里香の言葉にも視線を戻すことなく、絵里香に背を向けた。

天使と謳いながら、羽根もついていないナイジェルの背中を、絵里香は見つめた。



「僕の口から言えるのは、人の『命』が懸かるほどの、試練の中にキミは居る。

だとすれば、キミはよほど必死になって、キミのやるべき事をしなければならないという事だよ。

何をすればいいのか・・・それを決めるのも、絵里香・・・キミ自身なんだ。

そして、その行動が正しいかどうかで、周りの人間が助かるかどうかが決まる。」



絵里香は、息を荒くしながらも、ナイジェルの言う事を頭の中で必死に整理した。


母親が亡くなる前から続く、『見えない何か』の因縁に対して、

もう、逃げる事は出来ないのだという事だけが自覚出来た。



「分かった・・・」


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