≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
絵里香の言葉に、ナイジェルは振り返った。



「私、やるから・・・。ちゃんと、やるから!」



絵里香の強い意志を持った瞳を見ると、ナイジェルは優しく絵里香に微笑んだ。




次の休日、絵里香は空港建設予定地の駅に居た。駅から出てきた人1人1人に署名を頼んでいた。

あれから絵里香が考えた方法がコレだった。


恐らく母親の死に関係したのはあの土地の事であろうと、ナイジェルの言葉を追っていくと、必ずその考えにいきついた。


では、あの山を売らずに空港建設をさせないためにどうしたらよいか。


父親にそのまま話しても、どうせ相手にされないのは分かっている。


ならば、自分だけの意見ではないという事を、何かによって証明しなければならない。


そのために、『森林を伐採し、環境を破壊する、空港建設反対』


という署名活動をする事を思いついた。


署名者の中には絵里香と同世代の学生も居た。絵里香の大人びた行動に興味を示し、署名をしてくれた。

中には『親から勝手に署名などしてはいけないと言われている』と言って、

署名を断るカタブツも学生に居た。


しかし、絵里香はそんな事にもひるまなかった。


ひるんでなど居られなかった。



唯一残された家族である父を・・・絶対に失いたくなかった。


自分1人が残される恐怖を考えると、他人の意見など、どうでもよかった。


絵里香は、中学の頃美術準備室の壁にあった、キリストにかばわれる女性の絵を時折思い出した。


今は、例え反対する人から石を投げつけられても、

自分が『生きる』ため、愛する者を『生かす』ため、

間違った事はしていないと、強く心に思えたからであった。


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