≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「・・・そう・・かもしれないけど・・・。
でも、どうしてミユがそんな事知ってるの?」



ミユは絵里香を敵を見るような目で睨んだ。



「アンタの父親の会社で、自殺した男性は、私のおじいちゃんだよ。

アンタの父親の会社の人が、昨日家に来て、泣きながら謝りに来たんだ。

おじいちゃんの自殺は、止める事が出来た・・・って・・・」



「そんな・・・・」



絵里香は、この蒸し暑い教室の中で、自分の指先だけが冷たくなっていくのを憶えた。

そのような事に父親が関わっていた事にショックを隠しきれなかった。



「でもね、私が許せなかったのはそんな事じゃない!!

その社員の話によるとね、『空港建設反対』についてのメモを丸めてゴミ箱に捨てたって・・・

おじいちゃんが命をかけたメモをゴミ箱に・・・

人の命をゴミ扱いしたのと一緒でしょう?!

そして・・おじいちゃんが亡くなった後も、そのメモの事は内緒にしろ!って言ったらしいじゃない!!アンタの父親は!!

私・・・それが許せなかった・・・

これじゃ・・おじいちゃん・・・犬死にじゃない・・・・

どれだけ悔しい思いしてるか・・・

おじいちゃん・・・おじいちゃん・・・

優しくて・・大好きだったのに・・・・」



ミユの目から、大粒の涙がボロボロとこぼれた。


絵里香も突然の話しに、動揺を隠せなかった。

ミユのこの話しが本当かどうかも確信が持てない。

本当は父親に、スグにでも事実確認をしたかった。

しかし、目の前で号泣するミユの言う事が、全くのデタラメとも思えなかった。



「ミユ・・・ごめんね・・・。パパがそんな事したなら・・・本当にごめんね・・・」



ミユは手で涙を拭うと、もう一度絵里香を強く見た。



「アンタも・・・同罪だから!・・ヒック・・知らなかった・・なんて・・・そんな言い訳で・・・許される事じゃナイんだから・・・ヒック・・・
人が命を懸けた事も知らずに、ぬくぬくと生活し続けるなんて・・・絶対許せない!!人殺しのくせに!!」


ミユはそれだけ言うと、教室を走り去った。




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