≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「・・・ん・・まぁ・・とにかく、空気が読めないとその場を盛り下げちゃいかねないからさ・・・」
「どうして盛り下がっちゃいけないの?」
「仕事の場合だと、お客さんの機嫌損ねたりするだろ?空気読めた方がいいんだよ!」
「えっ?でも・・・そういうのって真心(まごころ)なんじゃないかなぁ?空気を読むっていうより、真心(まごころ)さえあれば、きっと伝わるよ!」
「それは、そうなんだけど、お客さん相手のコトばかりじゃなくて、職場の同僚とか上司とか、テキトーに合わせとかなきゃならない時だってあるんだよ。社会で生きてる人間は、みんなそうやってうまく波に乗ってやってかなきゃバランス取れないんだよ」
「って、コトは周りの同僚や上司もテキトーに空気読んで流してるだけなのかな」
・・・樹花・・・キミはソクラテスか・・・。
そんな困り顔でオレを質問責めにしないでくれ!今はちょっと虫の居所が悪いんだ。分かってる。樹花に悪意はない。ただ知りたいだけなんだ。知りたいだけ・・・
「まぁ・・・そんなもんじゃないの!たいてい・・・」
樹花・・・何も言うんじゃないぞ・・・
「だったら・・・アスカさんはKYじゃない!アスカさんは私のコトやピカちゃんのコト・・・心の底から思って来てくれた。私、普段ピカちゃんを待ってる時間の方が長いから、アスカさんが来てくれてホントに・・・」
「だったら!!これから毎日アスカに来てもらえばいいよ!なんなら長谷川も他のバンドのメンバーにも声かけてやるよ!・・・分かんないんだよ樹花には、普段みんなと居ないから!」
・・・言った!言ってしまった!!
分かってる、分かってる、樹花が悪いんじゃないオレが悪いんだ。
でも、引っ込みがつかないオレは部屋を出るしかなかった。