≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
なぜかオレは、そんなハルの必死な訴えを、真剣に受け取らないでいた。


「へぇ~・・・ナンバーワンホステスって言うのは・・そうやって、泣き落としたりするテクニックも持ってるんだ。流石だね!」


今のは、思いっきりイヤミたっぷりだった。

オレも、さすがに言いすぎたと思った。

しかし、ハルの反応はオレの予想と全く違っていた。



「・・な~んだ・・・やっぱりヒカルには通用しないか・・。他のオトコはコロッと騙されるのに。」


ハルは、いつのまにか素の表情に戻っていた。

さきほどまでの泣きそうな顔は、やはり演技だったわけだ。



「ハル・・・・変わったね・・・」


オレは、夢の中でのブラックホールの女の顔を思い出した。

ハルの顔だと思っていた顔が、表情などなにもない、永遠の闇。

今のオレから見えるハルは、もう昔のハルではない。

全く知らない顔を持つ、別人・・・。



「そーかな・・・。本質はあまり変わってナイと思うけど。ヒカルはお人好しな所・・・全然変わってないね。」



オレも、この回答には少しカチンと来た。



「あぁ・・・バカだよ・・・でも、バカで結構!オレはいつも、オレなりの正義を貫く事にしてるだけだから。」


オレは、樹花や日村先生の顔を思い浮かべた。

この2人が居てくれる。

オレはこの2人に支えられてる。


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