≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
ただ、この思いが強すぎてバランスを崩した時に、その本人の弱みにつけ込んで、似た波長の相手に、自分の欲求を満たさせるという・・・。


心も体もモノも・・・


純粋な愛の手前で、先に物欲に走ると、愛とお金、お金と身体が絡んで、とても汚く見える。

そこが、色情霊にオレが嫌悪感を感じる所だろう。

その波長が、いまや完全にハルを包んでいた。

しかし、何故・・・?

何故、オレが巻き込まれる?!


オレは、ハルとの出会いを必死で思い返していた。


あぁ・・・

あの時オレは、樹花と悪い雰囲気で別れた後だった。

ずっと、言いたい事が言えなくて、胸がつかえていた。

そんな時ハルと会った。

あの時の胸のつかえを、ハルが取り除いてくれた・・・

と、言うよりむしろ・・

オレは、そう『させられた』のかもしれない。

オレは、ゾッとした。

たかだか、霊能力の数値が40程度の霊に、こんなにも翻弄されるなんて・・・

同時に、自分の未熟さと、能力の無さに心にポッカリ穴が空いたように、自信を無くした。

夢の中で、女の胴体がブラックホールだったのは、今のこの情けない自分の現状だと思い知らされたようだった。

オレは、ほんの少しの間にこれだけの事を意識に吸収し、力をなくした。


言葉もなく、・・ただ・・翼を折られた天使のように、ソファーにドカッと座り込んだ。

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