≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「・・・なにが?」


オレは、ハルの『ごめんね』の意味は判ってはいたが、このまま黙り続けるのも、朝の霊の浄化に支障をきたしそうなので、とりあえず、話しが続くよう、応えてみた。



「ひどいコト・・言って・・・。

私・・ヒカルが帰ったら・・また1人になるって・・・

1人になるって思ったら・・すごく寂しくなって・・

たまらなくなって・・・

1人は、もうイヤ!

口論でもいいから、少しでも長く居て欲しかったの。

1秒でも長く・・ヒカルの側に・・居たかった・・・」


涙ぐみながら、訴えるハルの言葉に、オレは翻弄されまいとしながらも、あの夏を思い出していた。

あの暑い中での、高校最後の登山キャンプ。

そこで、ハルは足を怪我し、オレが助けを呼ぶため、ハルを1人残して行こうとした時も、ハルは今と同じように

『1人はイヤだ』

と、泣いて訴えた。

その後の、ハルとの別れも、ハルが悪かったわけじゃない。

ハルのまとう霊たちのせいで、オレたちは、いつもギクシャクしてしまう。

これも・・この感情も・・霊の罠かもしれないが、オレはハルが可哀相になってきていた。

オレは閉じていた目を開け、身体を起こした。


「・・・なんか・・飲む・・?」


オレは、ハルの顔を見た。

その瞬間の、ハルの顔はパッと明るくなり、笑顔が咲いたようだった。


「・・うん。・・でも・・・怒ってないの?」


心配そうに尋ねるハル。


「そりゃ、勿論怒ってるさ!」


またハルの顔が曇る。


「・・そーだよね・・・」


「いっつも遠回し過ぎるんだよ、ハルは!分かりにくいっつーの!」


ハルのホッとした表情。


「・・じゃぁ・・飲み物は私がおごってあげる!」


「さすが!そうこなくっちゃ!!」

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