≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「なんでだか分かる?」


「それは、この寛大なオレ様への敬意でしょう!」


「・・ちがいます!また、飲み物全部こぼされちゃったらイヤだから!」


ニッと笑うと、舌を出して、ハルは自販機に駆け寄った。

高3のオレの苦い思い出を、ハルは笑い飛ばしてくれたようだった。

ホッとしたのは、むしろ・・オレの方かもしれない。


ハルの買ってきたドリンクを飲みながら、ハルはおばさんの容態などを詳しく話してくれた。

おばさんは、身体の至るところに『動脈瘤』が出来、その動脈瘤が破裂すると、このような緊急手術になる。

あらかじめ、取り除ける部分は取ってきたが、危険な箇所だけが残り、次に破裂した時は、おばさんの命は保証できないと、医師から言われているという。

今回は、その2度目の緊急手術らしい。

ハルはそんな辛い話しをしながら、オレを心配させないよう、あっけらかんと笑ってみせた。

心の中は、うずくまって泣きたいほど・・辛いのを隠して・・・

そんなハルを見ていると、オレの胸は、またジンジンと痛くなってきた。

分かっている・・・。

これもまた、霊の罠だ・・。

オレは時折瞑想を試み、なんとか心の平静を保った。


あれから数時間経つが、おばさんの手術はなかなか終わらない。

ガラスの向こうの空も、徐々に明るくなり始めた。


それからしばらくすると、完全に陽は昇った。

オレは時計を見た。

----6:05am

そろそろ、ハルに憑いている霊を浄化させられる時間だ。

オレは、隣のソファーに座っているハルを見た。


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