≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
ついさっきまでオレと話しをしていたハルだったが、さすがに疲れが出たのか、ウトウトとソファーにもたれて、眠りかけていた。


『チャンスだ!』


オレは、急いでハルの背中側へ回り、夜中より随分と大人しくなった女の霊に手をかざした。

すると、なんの事はない。

ハルに憑いていた女の霊は、たちまち霧のように浄化され、なんなく霊界へと旅立った。


『なんで・・こんなに簡単なんだ・・・?!』


オレをここまで振り回しておいて、どれだけ反発してくるかと思いきや、意外にあっさり済んだ事に、オレは逆に違和感を覚えた。


オレはハルの肩から5mmくらいの位置に手をかざしていたが、その気を感じ取ったのか、ハルはハッと気が付いたようだ。

オレは、ハルから慌てて手を引いたが、振り返った瞬間のハルは、既にオレの左手を掴んでいた。


「・・・いや・・その・・ホ・・ホコリが付いてたから・・・」


オレは、とりあえずベタな言い訳をしてみた。

ハルはオレの左手をギュッと握りしめた。


「だから・・ヘンなつもりはなくて・・・」


「ヒカル・・。

私・・またヒカルの側に居たいと思ってる。

この事は、今思ったんじゃなくて・・・

ずっと、思ってた。

ずっと・・病室で別れたあの日からも、また・・ヒカルの隣に居たいって・・・」


オレは、たった今、ハルに憑いていた霊を浄化した・・・ハズ。

だとしたら、コレはハルの本音?!

言葉を慎重に選ばないと、また・・・

ハルを傷つけてしまうことになる・・・


「で・・でも・・ハルも今の仕事すごく頑張ってて・・・

オレなんかより、ずっとイイ男と知り合いだと思うから・・・

そんな中で、オレは張り合っていけるとも・・思えないし・・・」



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