≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「今の仕事は生活のタメなの!!

好きでやってるワケじゃない・・・

お客さんとだって、ヒカルが思ってるような・・・

ヘンな事は・・何もナイんだよ・・・

でも・・・

正直言うと、お客さん云々じゃなくて、好きになりかけたヒトは居るよ。

・・・でも・・でも・・・

どうしても、ヒカルと比べてしまっている自分がいるの。

だから、相手もソレを感じて・・・私の事を本気で愛してくれないの!

私が・・私が・・ヒカル意外のヒトを愛せないから・・・」


それ・・って、オレに責任取れって・・コト・・?!


「だけど・・・オレには、そんな高い服やバックを買ってやれる甲斐性は無いよ!

ハルは、生活のタメだとか言ってるけど・・そんなモン買ってる余裕があるんだったら、もっと貯金したらいいんじゃないの?!」


ハルは一瞬息を呑み込んだ。

が、またゆっくり話し出した。


「・・そうだね・・・そうなんだよね・・・。

最初はね・・仕事で必要だから・・って、無理して買ってたんだ。

でも、誰かを愛したいのに・・愛せない寂しさ・・・

そして、愛されたいのに・・好きな人から愛してもらえない切なさを忘れるには・・

他人から羨ましがられるようなモノを、手に入れるコトで、補う事を覚えてしまったの・・。

買っても買っても、満たされないのは分かっているのに・・・

家に帰ったら、包装から出してない物だってあるよ・・・

悪循環って分かってても・・・やめられないの・・・」


オレは、ハルがとても小さく・・弱く見えた。

高校生の時は、とてもしっかりしていて、小さい体でも、存在がとても大きく感じられた。

あのハルに憑いていた霊は、ハルからこれほどまでに生きるエネルギーを奪っていたのだった。

色情霊とは・・オレが思っていたよりもずっと、厄介な存在なのだと・・思い知らされた。


「ハル・・・とりあえず・・手ぇ・・放さない?」


ハルは視線を反らしはしたが、オレの手を更に強く握りしめ放さなかった。

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