≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「ヒカルはさっき、私のコト『変わったね』って言ったよね」


ハルは掴んでいるオレの手を握りながら立ち上がった


「うん・・・だけどそれはさっきまでの話しで今は違うと思ってるよ」


ハルは視線を伏せたまま続けた



「ううん、変わったよ。…あの日から。ヒカルが私の病室から出て行った高3の夏から。」



ハルは視線を上げ、オレを見た。ハルの目からは、ボロボロととめどない涙が溢れていた。

オレは迷った。ハルがこんなにも苦しんでいる理由を、あの時なぜオレがハルとの別れを選んだのかも、この霊的なチカラの事を含め話すべきなのかどうかを。



「ハル…あの時のオレのせいで本当に…ずっと苦しんでたの?」


「あの時…どんな女の子でいたら…ヒカルに嫌われないですんだんだろうって…どんな風に変われば、ヒカルはまた昔みたいに隣に居てくれるのかな…って…」


「ハル、ちがうんだよ。ハルはなんにも悪くないんだ!悪いのはオレで…弱くて…不甲斐なかったから…ハルを嫌いになって離れたわけじゃないんだ。」


オレの言葉に、ハルは突然抱きついてきた。



「ずっと…想ってたよ…ヒカル…」



ハルは声を絞り出したあと、今度は声を押し殺して強く泣いた。
肩や背中が、嗚咽で激しく揺れていた。


ふいに・・・

オレは、遠くからの視線を感じ顔を上げた。


待合い室の、すぐ側の廊下からこちらを見て立ち尽くしていたのは、樹花だった。


『・・えっ、樹花・・?なんでここに?!!』


オレは一瞬パニックになった。

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