≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
そういえば、昨日お見舞いに行った時・・・


「最近は、ご飯の前には必ず歩く練習してるんだよ。

もう、ほとんどフラフラしないし、お腹も空いて、ゴハンも美味しいから、ちょうど良いんだ。」


樹花はこんな事を言っていたっけ・・・


オレは、目を丸くしたまま立ち尽くす樹花に、言い訳をしようと口をパクパク動かしたが、オレの胸に顔をうずめているハルを、またもむげにするワケにもいかず・・・

何も言えないまま、樹花と見つめ合うしかなかった。

樹花は、そんなオレを見て特に表情を変える事はしなかった。

そのまま何も言わず、樹花は俺たちに、クルッと背を向けて、その場を去って行った。


----パッッ


ようやく『手術中』のランプが消え、おばさんがストレッチャーで運ばれて出てきた。

ハルは、やっとオレから離れ、おばさんの元へ駆け寄った。


「とりあえず、今回も手術は成功したよ。

いやぁ・・よく頑張ったよ、お母さん!

『生きたい』って気持ちが、ビンビン伝わってきたよ。」


先生の言葉を聞くと、ハルは何度も医師に礼を言い、病室へ戻ろうとした。

オレは、再度時計を確認。


----7:11am


『ヤベェ!!』


オレは、心の中でそう叫んだ。


今日は、元上司の山田氏の家に、日村先生と行く約束をした日だ。

待ち合わせは8時半。

樹花の事は、気になって仕方がなかったが、どうにもこうにも時間が無い。

一度家に帰って、シャワー浴びて、着替えないと、とても人様の家に上がれる状態じゃない!

ハルにも急ぎの用があるからとだけ伝えて、病院を飛び出した。

オレはダッシュで家へ戻り、大急ぎでシャワーを浴びた。


先生との待ち合わせ場所に着いたのが、8時33分。

辺りを見回すが、日村先生は居ない。


「・・・もしかして・・・置いていかれた?!

・・たった3分の遅刻で?!!」


オレは、先生に電話しようと、そこで初めてケータイを見た。


『アレ?!・・・ハッ!そうだった、電源切ってたんだった!!』


オレは、慌ててケータイの電源を入れた。

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