≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
---- そのボヤは結局、家庭用の害虫駆除剤の煙だったと報告されていますが、間違いないでしょうか。



「・・はい・・。
夜遅かったので、残っていた社員も少なく、煙で一応、皆会社の外に避難したそうです・・・。
その時に・・中で・・会社のブレーカーを全ておとして、電気機器が全く使えない状況になったと・・聞いてます・・・。」


いつもの山田氏とは違い、力無い声だった。



---- では、電気機器が全て使えないという事は、もちろん自動ドアも開きませんよね・・。他に中に入る手だてというのは無いのでしょうか。


「・・自動ドアは・・中のロックさえ手動で開けてくれれば・・簡単に手で開く事が出来ます・・・。しかし、裏の通用口は、電子キーになっていまして・・セキュリティ番号を入力しないと・・中には入れなくなっています・・・。停電時は直接カギで解錠出来ますが、内側から何かしたらしく…今は外からは入れなくなっています」




山田氏は、レポーターの質問に、やっとの思いで答えているのが分かった。

それにしても、ドアから入れなくても、ガラスをたたき割って入ればいいのに・・・

オレのその考えも、次のレポートを聞いて閉ざされた。



---- そうですねぇ・・・また、強引に入ろうとすれば、手持ちのライターと灯油で、すぐに火を点けると、そういう脅しめいた事も言ったそうですが・・・



「はい・・確かにライターを持っていました・・・なので・・・すぐには飛び込めない状況でした・・・・」



---- ところで、中にいらっしゃる女性は、娘さんと何か関係がおありなんですか?


「・・娘の塾の先生です・・。
娘も・・あの方とは話しやすいみいなので
・・・中に入れたみたいです。

あの人が説得するというので・・・
それを信じて・・今は待ってます・・・」


山田氏が日村先生のことを塾の先生と言ったことも、突然の思いつきであったに違いない。霊的なことでの知り合いだなんて放送されたら、また面白おかしくメディアは報道する。その辺りの冷静さは流石だと思った。

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