≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
今になって・・・・

オレのまわりにしかけられていたカラクリが、全て動きだし、こんな騒動を起こしている。

恐らく、オレの中では小さな小さなネジで、相手にさえしていなかった事が、こんなに大きな歯車を動かす軸になっていた事を、思い知らされた。


でも、オレはまだ分からなかった。


誰が・・・

一体誰がこんな手の込んだ事を思いついたのか。


なぜ、ここまでする必要があるのか。


カラクリの全貌を知るには、オレにはまだまだ能力が足りないのだと・・・

オレはまた、自分の無力さに打ちひしがれていた。


オレが、こうやって蚊帳のそとで、見物人と何ら変わりなく、役に立てないまま、ビルの外に突っ立ている間、ビルの中で日村先生は必死に働いていた。

いつもサラッとしている長い髪も、かなり汗を吸い取っているのが分かった。

女子3人が、水を飲まず、食べ物を食べない間、勿論先生も何も口にしていないのだろう・・・


数日前・・・

日村先生が、パクパク食べ物を食べたり、ゴクゴクアイスコーヒーを飲んで、満足そうにしている姿を見て・・・オレは・・なんてバカな事を思ったっけ・・・


確か・・『神聖さが落ちた』とか・・・そんな事を思った・・・


本当にオレは・・とことんバカだ!

当たり前だ・・当たり前の事だ・・。

日村先生だって人間だ。

口から何か摂らないと生きていけない。

なのに・・なんて事を思ったんだ・・オレは!


今は・・今はただ・・・

この水を飲ませてあげたい・・・


ふがいないオレのせいで・・・

たった1人であの中に居る先生に・・・

せめて一口・・・

水を飲ませてあげたい!


オレはたまらず、目頭が熱くなった。


そうして、両手にペットボトルを取り思いっきし叫んだ。


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