≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

本当の愛

「水・・・ひと口だけでも飲んだら?

そんな事じゃ、言いたい事も言えなくなるわよ。」


令子は、絵里香、ミユ、サツキに向かってペットボトルを差し出した。

3人はゴクリとツバを飲んだが、3人とも、ペットボトルから目を反らした。



「・・・飲みたいのなら、先生だけどうぞ。」



絵里香が呟くように言った。



「あなたたちが飲まないのに、皆が観てる前で、大人の私だけ飲むわけにはいかないでしょう?!

このままだと・・・私もあなたたちと心中する事になるわね。」



令子は3人に淡々と喋った。



「イヤなら先生も出ていってください!

今さら・・・

信用出来ない大人が1人増えたって・・・

なんて事ありませんから!

私たちは、正しい事のために命を懸けているんです!!」



絵里香は、断固とした態度で令子に応えた。



「まぁ、その位の覚悟がなきゃ・・・こんな事出来ないわね。」



令子は建物の中を、再度見回した。

自動ドア正面の、受付のすぐ右横には、新空港開設のイメージ図が、ステンレスパネルに描かれていた。

そのステンレスパネルは、誇らしげに受け付けよりも少し高い位置に設置されていた。

ビルに立てこもったと言っても、絵里香たちがした事は、ブレーカーをおとした事くらいだった。

自動ドアにカギをかけ、誰も入らせないようにした。

裏の通用口はホームセンターなどにある家庭用の防犯ロックを自分たちで取り付けた。

特に器物破損は無かった。

ただ、自動ドア付近に少し撒かれた石油の臭いが

空気を不味くさせている


「誰も分かってなんてくれない・・・親も・・・恋人も・・・」


サツキもポツリと言った。


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