≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
愛し合っていると思う相手とでさえ、生きてきた環境は違うわけだから、同じことで共感したとしてもそれが愛を深める手段にはなってはいない。そこを見ようとせず思い込みで二人で同じ思い出を作れば絆が生まれるという錯覚を持たれたりしたら、愛はいつの間にか崩壊する。」


「じゃぁ、どうするれば愛を崩壊させないで済むんですか?よく手放すつもりでいればいいってネットとかには載ってます。そうしたらいいんですか?でも手放したらこの苦しい思いはどうすればいいんですか?」


サツキは必死にたたみかけた。


「親子の愛とかの事は…よく分かります。

なんだかんだ言ったって、見えない絆、、血のつながりとかあるんですから。

でも、好きな人に捨てられた時は…どう考えたらいいんですか?

私…消えたい…って、死にたいって…思うくらい、、、辛いです。」



サツキは数日前先輩から言われたセリフを思い出し、また泣いていた。

令子はサツキに近寄り、そっとサツキの肩に手を当てた。

そのぬくもりは、この暑さの中でも全く不快に感じなかった。

そんな不思議な感覚に、サツキはうつむき気味の顔を上げた。


「サツキちゃん。あなたは捨てられたと言ったけど、一体誰に捨てられたの?」


「付き合っていた…先輩です。」


「、、、そう。ヒドイ事…言われたのかな。」


サツキは涙をポロポロと流しながら、コクリと頷いた。


「何回か寝ただけで、彼女ヅラするなって…

オマエよりイイ女は沢山いる…って、、、」



「サツキ!もう、いいよ!

先生!サツキが可哀相だよ、それ以上聞くのは!」


絵里香が強い口調で言った。


「愛は与えるだけのモノじゃない。時に奪ってもらわなければバランスがとれないもの。ただね、相手から奪うのだからその分を返す責任を持って行わなくてはならない。サツキちゃんが苦しいのは、サツキちゃんがずっと愛を与えているのに、あなたの相手が少しの愛をも奪わせてくれないからでしょう?違うかな。」

令子はサツキに優しく問いかけた。


絵里香が怒り口調で言葉を放つ


「サツキがこんなに傷ついてるのに先生ひどい!サツキ、聞くことないからね!」

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