≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「じゃぁ、私は先輩にとって油だったんだ。」


サツキは静かに話した。令子はサツキをしっかりと見た。


「大丈夫。これからの経験で相手が受け入れたいと思っている愛をかならず、あなたたちは注げるようになる。」


「それくらい分かります。」


絵里香は変わらず反発気味に答えた


「それでも、誰かに自分の愛情を注げないことだってある。そんな時、あなたの愛を強引に奪おうとする事が起こる。それは、いい事もあるし悪いこともある。だけど、それによって心の爆発を防いでいる。」


「そういうめぐり合わせがあるってことですか?」


「そう、あなたたちを守っている目には見えない力がそうさせる。あなたたちの『生』を守るために。」


「目には見えないチカラ」


「奪った愛情に責任を取り続けることが出来ないと魂が悟ったとき、自然にその人は離れていく。どんなに好きでもね。脳では大好きだし一緒にいたいと思っても、魂が正常な働きが出来る状態であるなら、それは縁のない相手として遠ざけられてしまうの。」


「なんだか、難しいですね・・・」


ミユは眉をしかめながら聞いていた


「そうね、だから言葉では伝えられない。一つ一つを経験する中で感じて分かるものだから。」


「そうなんですね」


サツキは呟くように答えた


「ただ、これだけは皆に伝えておかなければならない。あなたたちがここを出て、本当の愛を語るとき、必ず伝え忘れてはならないこと。」


「はい・・・」


「愛を奪うこともあるけれど、決して、、根こそぎ奪ってはいけない。二度と元に戻すことの出来ないほどにそのものを奪ってはいけない。一番大切なのは、肉体と心をもう戻せないほどに破壊してはいけないし、傷つけることはいけない。それはね、相手に対してだけではない。自分自身に対してもそう。自分の身体だから好きにしていいのかって、そんな事は許されない。目には見えなくてもあなたたちを守りたい人たちは、全力でそのことを訴えているの。」


三人は黙ったままでいたが、ミユとサツキは顔を見合わせた。


「とにかく生きて、、もっと本当のことたくさん知って、そして伝えていけるようになりたい」


「わたしも、お爺ちゃんが守りたかった未来を生きたい」


サツキとミユは思いを口にした


「若者からそういう言葉を聞くとやっぱり嬉しく感じるのよね。もう歳かな。」


そう言って令子が二人に微笑むと、サツキとミユは無邪気に笑った。


「とにかく生きる、、、」


もう一度二人は言葉を放った。


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