≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
佐々木は、ポリタンクを床に置くと、ゆっくりとした拍子で、パチパチと拍手した。


「いやぁ~・・ここまでよくやってくれたよ・・・有り難う・・・ミユちゃん・・」


「・・な・・何?

・・わ・・私は何も佐々木さんのためにしたんじゃありません・・

自分たちで考えて・・行動したんです・・・

でも・・・もう止めるんです。

終わりにして、帰るところなんです。」


ミユは、佐々木の様子に少し怯えながらも、言葉を繰り出した。



「ははは・・・・

まぁ・・結果がこんなに中途半端じゃねぇ・・・

亡くなったおじいさんも浮かばれないと思うし・・・

もしもの時は、僕がもうちょっと手伝ってあげようと思って、待機してたんだよ・・・」



絵里香とサツキとミユは、佐々木のただならぬ状況に固唾を呑んだ。

ビルの中は、汗で衣服がくっつくほどに蒸し返っていたが、その雰囲気に寒気さえ感じていた。


一方令子は、佐々木の背後を凝視した。

ただならぬ気配が、佐々木を覆っていた。



「・・・・エンジェルだわ・・・」



令子がその言葉を口にすると、絵里香がすぐさま反応した。



「エンジェル・・・?!違いますっ!!

エンジェルはこの人じゃありませんっっ!!

エンジェルは、もっと優しくて・・・

こんなに・・怖くありません・・・」



絵里香は、エンジェルナンバーの分厚い本をギュッと抱きしめた。



「とにかく・・・ここは私に任せて、3人は自動ドアのカギを開けてちょうだい。

そうすれば、もう大丈夫よ。」


ミユとサツキは頷いて、出口へ向かった。

・・が、絵里香だけが動かないでいた。


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