≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「エリー?!どうしたの? 行くよ!!」


ミユが絵里香の後方から叫んだ。

ミユとサツキは、出口まであと数歩の所に立っていた。

あと少しで、最愛の人たちに会える。

とても怒られるかもしれない。

ぶたれるかもしれない。

それでも、普段の生活に戻りたかった。


「・・・どうして・・?

・・身体が・・動かないの・・・」


絵里香のその言葉を聞き、ミユとサツキは身体ごと絵里香の方を振り向いた。

ミユとサツキは、再び見つめ合った。

2人の気持ちは同じだった。

絵里香も一緒に帰る事。

3人で始めた事・・・

終わるのも3人一緒・・・

そう思った。

2人は、再び絵里香の元へ戻ろうとした。

ガラス越しに待っていた両親は、再び泣きながら我が子を呼んだ。


佐々木は、持ってきたポリタンクのフタをクルクルと回転させた。

ニヤニヤと笑う顔で、令子たちを眺めながら、そのフタを取ると、ポリタンクをガッと一蹴りした。

ポリタンクの中からは、コポコポという音で液体がこぼれてきた。

その液体は、鼻をつく異臭を放った。


『石油?!』


その液体は、みるみる令子達の場所を通過し、自動ドアの方まで流れて行った。

液体の散乱に、ビルの入り口付近は一層慌ただしくなった。

現場に居た警官が随所に連絡を取りだした。



「絵里香ちゃん・・入り口まで走って・・・」


令子が声をかけた瞬間・・・

さきほどまで、佐々木を覆っていた空気が、今度は絵里香を支配していた。

佐々木はボーッとしたまま、気が抜けたように立っているだけだった。


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