≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
西の空で、太陽がオレンジ色に焼けていた。


「ああ・・・サージェル・・・・サージェル・・・

・・・そうだわ・・・もう・・・これしか・・方法はないわ・・・」


母親は、フラフラと歩き出した。

歩き出した先は、夫の仕える王の居る城だった。


「王様に・・王様に・・お願いしなくちゃ・・・」


母親は、正常な意識を脱していた。

王族で無い者が、王に対して意見をするなど、この国では死罪同然であった。


しかし、愛する息子の為・・・

自分に出来る事は、この事以外に思いつかなかった。


丁度その頃、山焼きの為の兵隊たちが、馬に乗り、間もなく出立する準備を整え終えたところだった。


城内に、山焼き隊の隊長が、慌ただしく走ってきた。


「ガイル殿!!・・ハァ・・ハァ・・・」


隊長に呼ばれ、ガイルは振り返った。


「なんですか、隊長・・騒々しい。

山焼き隊は、もう出発せねば、日没に間に合いませぬぞ!!

何をやっておられるのだ。」


そう答えたガイルという男は、王の側近であり、サージェルの父親であった。



「そ・・・それがっっ・・・」



隊長は、辺りをキョロキョロと確認し、ガイルに耳打ちをした。



「なっ・・・何ですと・・・サーシアが・・・?!」



「ハイッ・・・城門の前まで来られて・・・私がいち早く気付き、今お引き留めしているのですが・・・」


隊長は汗だくになりながら、状況を報告した。



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