≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「山焼き隊は何をしているっ!!」


地に響くような低い声が、兵隊達の頭を、更に地面近くに伏せさせた。

黒い馬に乗った大柄の男が、城門付近までやって来た。



---- ギ・・ギギーーッッ・・ギギギギ・・・



重い木の扉で塞がれていた城門が、徐々に開きだした。



「へ・・・陛下っっ。

いっ・・今、出発するところでございましたっ・・」



隊長は、馬にまたがった男に駆け寄ると、怯えながら報告した。

その黒い馬にまたがった男は、この国を牛耳る王であった。



「・・おまえが隊長か・・・」



「はっ・・はいっ、左様でございます。」



それだけを聞くと、王は馬にまたがったまま、その腰に携えてある剣を抜いた。



「夕日が、もう半分沈んでいる・・・。

おまえ・・出発が遅れたな。」



王はそう言うと、隊長ののど元に剣を向けた。


「・・はっ・・あ・・ま・・間に合いますっっ!

沈んだ時に、山が赤々と燃えるよう、必ず間に合わせてご覧に入れますっ!!

陛下っ・・なにとぞ・・なにとぞ・・・・命だけは・・・」



隊長は、そのふっくらとした顔いっぱいに汗をかきながら、命乞いをした。

城門の外の勝手口から、隊長の危機を察知し、ガイルは城門の中に入った。

自分の妻のために、出発が遅れてしまい、その責任を隊長が被っている。

ガイルは、隊長をかばわねばならないと思った。



「陛下!お待ち下さい。」



ガイルは、ポーカーフェイスで何事もなかったかのように、王の前にひざまずいた。


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