≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
そう言ってガイルは、サーシアと王の前から走り去り、馬に乗って森へと全速力で向かった。


「サーシアよ。

銀庭(ぎんてい)とは何か、聞いたことがあるか。」



王は変わりない低い声で、サーシアに尋ねた。



「・・・いいえ・・存じません・・・」



「そうか。

家ではガイルも、良き夫であり・・良き父・・なのだな。

まぁ・・この度は良い機会だ。

お前の夫が、普段どんな仕事をしているのか、身をもって知るがよい。」



「・・・・」



サーシアは黙っていた。

この後に、どんな事が待っているのかは分からない。

ただ、この王との会話は、これから自分の身に起こる、嵐の前の静けさだという事だけは分かった。


サーシアが兵に連れられ、鉄の門の前にたどり着いた。

そこは、門以外は石が高く積み上げられ、恐ろしく長い塀が、円を作っているようだった。

この積み上げられた石塀の中に入れば、恐らく出口は無いだろうと、サーシアは思った。

この中に、どんな罪人が居るのか分からない。

そんな所にこれから自分も入るのかと思うと、恐怖で身が震えた。


「サーシアよ。

わしとはここで別れだ。

わしは上で見物する。

おしいものだ・・・

お前が城に上がっていれば、可愛がったものを・・・

わしは、他の男の手の付いたモノも好まぬ。

まぁ・・・

健闘を祈る。」



それだけ言うと、王は馬で城内に駆け上がって行った。



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