≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
王が去ると、鉄の扉が、銀庭の門番によって開かれた。

扉の中に入る際、サーシアを銀庭に連れて来た兵の1人が、サーシアに何かをそっと持たせた。

サーシアは、不思議に思い、兜の奥のその兵の顔を覗き込んだ。

兵は、まだ若者であった。

よく顔を見ると、彼は涙を流していた。


「・・どう・・なさったの・・・?」


サーシアが優しく尋ねると、若い兵は答えた。


「私は・・戦地で・・何度もガイル様に命を救われました。

それが・・奥様1人・・お守り出来ない自分が・・悔しいのです。」



すると、もう1人の兵も同じく泣いていた。



「あれほど陛下に尽くされたガイル様に・・こんな仕打ちをなさるなんて・・。

奥様・・・ガイル様がお戻りになるまで・・何卒・・何卒・・生き延びて下さい。」



サーシアは、手渡された物を見ると、それは短剣であった。

サーシアは、フッと笑った。


「夫は・・幸せ者です。

こんなにも、部下に慕われて・・・。

その妻である私も・・幸せです。

・・・有り難う・・・。」



「奥様・・・」


2人の兵士は、銀庭の少し中まで、サーシアと共に歩き入った。


「早く外へ出ろ!!」


2人の兵は、銀庭の門番に怒鳴られ、仕方なく外へ出た。


---- ギーーーッッッ・・・ガチャンッッ


2人が外へ出ると、鉄の扉は、その重厚な音と共に閉じられた。


---- ボウッッ


という音に、サーシアは身体をビクッとさせた。


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