≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
ガイルは、初めて息子を振り返ったかと思うと、喋っている息子の頬を殴った。


---- ガツッッ!・・ドサッッ・・


その勢いで、サージェルは草むらに倒れた。

父親から、初めて頬を殴られた瞬間だった。

痛みというより、あまりの衝撃に、サージェルは黙ったまま父親を見上げた。

しかし、驚いたのは、殴られた事より、父親の形相だった。

返り血をふんだんに浴び、目は獣のようにギラギラしていたが、とめどない涙が溢れていた。

月明かりにも、サージェルは、血の涙を見ているようだった。



「お前は・・・お前という息子は・・・・

自分が・・一体何をしたのか・・・・

分かっているのか・・・・・」



ガイルは、声にもならない枯れ尽くした声で、言葉を絞り出した。



「・・・父さま・・・?!」


サージェルは、殴られた右頬を押さえながら、身体を起こした。

その時、父親の背後の遠い所に、チラチラと松明が近付いてくるのが見えた。

同時に、パカパカと数頭の馬の足音も聞こえてきた。

ガイルは、ハッとし、振り返った。


先頭で馬を走らせていた男が、すぐにガイルたちの側まで寄ってきた。

その男とは、黒い馬にまたがった王であった。


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