≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
サージェルは、初めは意味が分からなかった。


「父さま・・・母さまの耳飾りがそこに・・・」


そこまで言って、サージェルはソレが何なのか、ようやく分かった。

青くチラチラと光る耳飾りにうっすらとかぶさっているのは、母の美しい金色の髪であった。

ほとんどが、べったりと赤い液体でくっついていた為、すぐには判らなかったのだ。

サージェルも言葉を失った。

そして、ただ・・認めたくなかった。

この恐ろしい現実を。



「サーシア・・・すまぬ・・・・

・・・間に合わずに・・・すまぬ・・・」



ガイルは、既に血にまみれた手で、変わり果てた妻の首を、そっと抱えた。

サージェルは、じりじりと後ずさりをした。

もちろん、逃げた所で何も変わりはしない。

しかし、この苦しい現実から目を反らしたかった。


---- ガサッ・・・


その時、サージェルの後ろで物音がした。

サージェルが振り返ると、鹿の親子であった。

先程産まれたばかりの子鹿が、立って歩けるようになっていた。

森の異変に気付き、洞窟から出てきたのだろう。

鹿の親子は、王の目にもすぐに留まった。



「弓を持て。」



王が命令すると、近くの部下がすぐに王に弓と矢を渡した。

王は、弓矢を手にすると子鹿を狙って弓を引いた。



「お待ちくださいっっ!!」



---- ビュンッッ!



サージェルが言葉を放ったのと同時に、矢が放たれた。


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