≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

---- ドサッッ・・・


王の矢に当たって倒れたのは、母鹿の方だった。

とっさに子鹿を庇い、首に矢が刺さっていた。

サージェルは、感覚の無い足で、必死に鹿の親子の元へ走った。

サージェルが母鹿の側へ行くと、すがるような目でサージェルを見つめ、そのまま息絶えた。



「今度こそ子鹿を仕留めるぞ。」



そう言いながら、王は弓を構えた。



「王様・・・この子鹿は・・たった今産まれたばかりです・・・

母鹿も・・とても苦労してこの子を産みました・・・

どうか・・どうか、逃がしてあげて下さい・・・

お願い致します・・・」



サージェルは、泣きながら王に訴えた。



「小僧、お前が立ち合ったのか。」



王はサージェルに尋ねた。



「はい。

産むのを手伝いました・・・」



サージェルは顔中の筋肉をこわばらせ、やっと答えた。



「そうか・・・ならば生まれたてというのは、本当らしいな。」



王は、再度弓を構え子鹿を狙った。



「王様!!おやめ下さい!

・・なぜですか・・・なぜそんな酷い事を・・・」


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