≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
父の言葉に、サージェルは、ボロボロと涙を流した。



「さすがはガイルだ。

矢を1本受けたくらいでは倒れぬか・・。

お前が、矢に何本耐えられるかちょっと試してみるか。

お前ほどの男を倒すには、矢が何本必要か、一度やってみたかったのだ。

小僧!

ガイルが立っていられる間だけ逃がしてやる。

どこまで逃げ切れるかは、知らんがな。」



王はそう言いながら、また1本矢を放った。



---- グサッッ・・


「クッッ・・・」


ガイルは、その身にまた矢を受けた。



「父さまぁぁーーーーっっっ!!」



サージェルはガイルの背中に抱きついた。

しかし、ガイルはすぐさまサージェルの回した手を振り解き、身体を突き飛ばした。



「サージェルッ・・・行くのだ!

お前が生きてこそ・・・父さまも・・・そして・・・母さまも・・・笑っていられるのだ・・・

遠くへ走れ・・・

そして・・生きろ・・・

父さまと・・母さまの分も・・・

さあ・・

走れ・・・

行けぇーーーーーーーっっっ!!」



それは、父が命を懸けた言葉だとサージェルは悟った。

溢れる涙を拭う事もせず、子鹿を抱き、サージェルは森の奥へと走った。

父に向かって放たれる矢の音が、聞こえない所まで来ても、走り続けた。



「ハァッ・・ハァッ・・ウッ・・ウッ・・父さま・・母さま・・・」


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