≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「ママっ!ママっ!まだダメだよ!絵里香・・・もっとママと一緒にいたいよ!話したいことだって、ママがよくなってから話そうって・・・ずっと溜めてたんだから!・・・聞いてよぉ・・・エッ・・エッ・・・ママぁ~ッッ・・・イヤだよぉーーーーっっっ!!」


オレは、ようやく状況が呑み込めた。

このベッドに寝ているのは、絵里香ちゃんのお母さんだ。

つまり、山田氏の奥さんだ。



「ハァ・・・な・・た・・・・ハァ・・・お・・ねがい・・ね・・・えりか・・を・・・」



奥さんの言葉に、山田氏は何度も大きく頷いていた。



「あぁ!あぁ!大丈夫だ!!絵里香は俺がちゃんと見るから、おまえは自分の身体の事だけ専念したらいいんだ!今日を乗り越えれば、きっと良くなる!なっ!だから・・ガンバレ・・・・がんばってくれ・・・・」



山田氏は奥さんの手を両手でしっかりと握りしめながら、祈るようにその手を彼の額にあてていた。

口をパクパク動かす奥さんに、山田氏は耳を近づけた。



「ん?なんだ?何が言いたいんだ・・・」



オレは、白い空間の中にひときわ輝く光に目を奪われた。

その光は、ビルに現れた先程の薄緑色の光だった。

その光の正体は、先程と同じ山田家の統帥霊と名乗った霊だった。

霊は、苦しそうにしている山田氏の奥さんに向かって話しかけた。



「よろしいのですね。

ここで、貴女自身が助かる方法も取れるのですよ。

山田家の子孫を残すため、貴女か娘のどちらかだけを残す事が出来ます。

あなたが残り、また子供を産むという方法でもよいのです。

それでも、娘の方をこの世に残しますか。」



その統帥霊の言葉を聞き、奥さんは苦しそうに・・しかし、誇らしげに答えた。



「えぇ・・・もちろんよ・・・・えぇ・・・ハァ・・・とお・・ぜん・・・だわ・・・・」



由利絵のよく意味の解らない言葉に、山田氏は不安な様子をみせた。



「もういい。由利絵!もう喋るな!少し休め!」



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